先日の記事ではヤドクガエルの飼育全般、メンテナンスやエサ、よくあるご質問内容にフォーカスして記しましたが、今回は先日新たに店頭にやってきたヤドクガエルたちを種類別に画像を見ていただき、ご紹介していきたいと思います。

ヤドクガエルたちの流通事情もここ20年ほどで目まぐるしく変化し、かつて幻だった種類が今は目の当たりにできたり、逆に昔は頻繁に見かけた種類が今となっては輸入が困難になっていたり…、ヤドクガエルに限ったことではありませんが、業界に20年以上身を置く立場としては、生き物との出会いはやはり「一期一会」。巡り合った時が運命の時、その時を逃すとその後二度と巡り合えなかった…を身をもって体感しています。「今、本種と出会えたことの貴重さ」を大切にしてください。


今回ご紹介のヤドクガエルたちも、いつでも入荷できる種類…の方が少なく、『CANDLEさんならまた入荷するでしょ…』という過度の期待はやめましょう(笑

それでは早速紹介してきたいと思います。
今回もどれがおすすめ?と聞かれると困っちゃう種類ばかりです!!



バスレリヤドクガエル・クロームブルー��
バスレリヤドクガエル・クロームブルー��
バスレリヤドクガエル・クロームブルー��
バスレリヤドクガエル・クロームブルー��

名称:バスレリヤドクガエル“クロームブルー”
学名: Ameerega bassleri
分布: ペルー
最大全長: 約3.5cm前後
寿命: 10年前後?

バスレリとかバッスレリと呼ばれているヤドクガエルですが、好きに呼びましょう。アーンさせたことはありませんが(笑)歯の形状が特徴的で、前上顎歯および上顎歯が存在し、他のヤドクガエルたちとは一線画します。
「クロームブルー」は本種のタイプの一つとされていますが、個人的にはグリーンと呼ばれているものも個体差の範疇では…?と思っています。性的二形性(オスとメスの見た目の違い)は、オスがメスよりやや小さいことによってのみ現れるとされています。
ペルーの熱帯雨林のやや高地に生息しているとされていますが、特に高温に弱いという印象もなく(もちろん常識の範囲内ですが)、温度面では店頭では25度くらいを目安にキープしています。
本種を含むAmeerega属は画像でも確認できますが、ツルっとした(ヌルっ?)印象が多いヤドクガエルたちの中ではやや異質で、どちらかというとざらっとした印象を持ちます。
体型もヤドクガエルらしからぬ、流線型に近く、どこか日本のトノサマガエルを思い出させるような……とここまで書くと勘のいい方ならお気づきでしょうが、他のヤドクガエルと比べると直線のジャンプ力が強く、わりと大型の種類に分類される割にはかなりのスピードで走ります(飛びます)。
欠点ばかりと思わせてしまって恐縮ですが、ブラックベースにネオンブルーのラインが特有のざらっとした皮膚の上に描かれている配色は、本種の欠点?を補ってもあまりある魅力を持っており、万人受け…とはいかないかも知れませんが、毎回わりと短期間で完売してしまう人気種です。
ここ数年以内ではありがたいことにCANDLEから卒業した本種の繁殖ニュースも聞かれるようになり、ますます注目のヤドクと言っても過言ではないでしょう。





バスレリヤドクガエルイエロー��
バスレリヤドクガエルイエロー��
バスレリヤドクガエルイエロー��

名称:バスレリヤドクガエル“イエロー”
学名: Ameerega bassleri
分布: ペルー
最大全長: 約3.5cm前後
寿命: 10年前後?

ブルーカラーのバスレリヤドクガエルをご紹介しましたが、個人的にも初めて見ますイエローモルフです。
上記ではクロームブルーとグリーンは個体差の範囲内では?と表記しましたが、さすがにこのカラーは個体差ではないでしょう。
まだまだ全然調べ切れていませんが、生息地を紐解いていくとやはりローカリティ、特に高地型低地型が当てはまっているような気がしないでもないです。
いずれにしてもご覧の通りブルーの部分がイエローに変わると印象がガラッとかわり、また違った魅力を強烈に放っています。

バスレリヤドクガエルイエロー、脚部と腹部の発色


イエローカラーのボディでも横っ腹(とたぶん腹部)にはよくよく見るとメタリックなブルーが発色しています。
脚部のグラデーションも見事で、毎回思いますが見れば見るほど自然界でどうしてこのような色彩が産まれたのでしょうか。
ちなみに色が変わっても性格は変わりませんので(笑)、突然のダッシュにはお気をつけください。



マダラヤドクガエル“マイクロスポット”��
マダラヤドクガエル“マイクロスポット”��

名称:マダラヤドクガエル“マイクロスポット”
学名: Dendrobates auratus
分布:南米に広く分布
最大全長: 約3.5cm前後
寿命: 10年前後?

定番中の定番、マダラヤドクガエルです。
一口にマダラと言っても、上記の通り分布が広く、非常にたくさんのタイプを持つ大所帯の種類でもあります。
前々から思っていたのでせっかくなので記載しちゃいます。海外では本種のカラー分けを“モルフ”と表現されますが、おそらく日本国内でいうモルフとは所謂「品種」、つまり選別交配などによって固定された表現をモルフと表現していますが、海外では例えばパンサーカメレオンの「ノシべ」「アンバンジャ」など、我々がローカリティとして認識、取り扱っているものも「モルフ」と表現することがよくあります。
『マダラヤドクガエルとかアイゾメとかって、たくさんのモルフが作られているんですね!』と言われることがたまにありますが、これは人間が作ったものではなく自然界の環境の中でその生息地各々でそれぞれのカラーに進化してきたものです。
……とマダラについては自分の中で「モルフちゃう説」を悶々と持ち続けていたのですが、その昔CANDLEにマダラヤドクガエルのアルビノが入荷しました………あれは自分の定義を当てはめると……モルフですね…。

語りたいことはまだまだありますが、本種マイクロスポット、一般的にマダラヤドクガエルと言えば当店でカリビアングリーンとして取り扱っているブラック&グリーンの種類を想像するかと思いますが、本タイプは背面に入る柄がその名の通りスポット状になっており、グリーンもややパステル状になっているのが特徴と言えます。




キオビ・ファインスポット��
キオビ・ファインスポット��
キオビ・ファインスポット��
キオビ・ファインスポット��

名称:キオビヤドクガエル“ファインスポット”
学名: Dendrobates leucomelas
分布:南米に広く分布
最大全長: 約3.5cm前後
寿命: 10年前後?

マダラヤドクガエルと並びこれぞヤドクガエル定番種と言われる地位を確固たるものにしているキオビヤドクガエル。図鑑や水族館などでもご覧になったことがある方も多いかと思います。
ベネズエラ、ガイアナ、ブラジル、コロンビアなど広く分布しており、上記マダラヤドクガエルと並び様々なローカリティを持ちます。
一般的によく見るタイプがギアナイエロー、ギアナバンドと呼ばれるタイプで、誰もが想像する一般的なキオビヤドクガエルと思ってもらって良いかと思います。
その他にもBoliver, 以前にも当店で国内初入荷を果たし、お客様のもとで次世代が産まれていると嬉しいニュースを頂きましたBoliver Gold、キオビらしからぬ独特の色彩のCerro Autanaなどがあり、それぞれ異なる地形(場所)に生息していることから交雑することはないと言われています。
本種ファインスポットはその名の通り地名ではなく、「細かなスポットが入る個体群」といった方がわかりやすいかも知れません。
人によってはちょっと苦手かも知れません細かなスポットの集合体はレイアウトケージの中でも非常によく映え、特に今回到着している子は大きめの子が多いので、レイアウトケージをより一層華やかなものにしてくれるでしょう。
非常に美しい声で鳴くことでも知られており、「カナリアのような」とも表現される歌声を是非聞いていただきたいと思います。
言うまでもなくイエロー&ブラックのカラーリングは自然界では危険を知らせる警戒色とされ、「自分は有毒だから気をつけろ!」と周りにアピールをしています。飼育下の個体が無害であるのは以前の記事「ヤドクガエルの飼育環境、メンテなど」にて解説していますので、そちらもご覧になってください。




ペペリヤドクガエル��
ペペリヤドクガエル��
ペペリヤドクガエル��

名称:ペペリヤドクガエル
学名: Ameerega pepperi
分布:ペルー
最大全長: 約3cm前後
寿命: 10年前後?

ペペリヤドクガエルやペッペリヤドクガエルなどと呼ばれていますが、人によって読み方も発音も違うので学名は好きに呼んでもらって大丈夫です。
ペルーに生息する中型のAmeerega属のカエルで、個人的にはめっちゃ久しぶりに見た、というか以前入荷したことがあるのかどうかもわからず、少なくとも現在の店舗に移転してからは初めて見た、ということはここ10年以上は入荷したことがないということになります。
本種に限らずAmeerega属のヤドクガエルは川の近くに生息しているという報告が多く、可能であれば飼育下でも水場をやや広めに取ってレイアウトしてやっても良いかも知れません。
本種もまた非常に綺麗な声で鳴くと言われており、個人的にはまだ聞いたことがありませんが、もし耳にするチャンスに恵まれたら、しっかりと記憶しておきたいと思います。
まだ未確認ながら生息地の北部と南部で体色が違うと言われており、前述のバスレリヤドクガエルもそうでしたが、いろいろ調べてみるとその生息地や特徴もそうですが、ますます興味深いグループです。

ペペリヤドクガエル脚部


背面のざらっとした質感の上のブラック&イエローに目を奪われがちですが、腹部にもよくよく見るとメタリックなブルーが、脚部はブラックとネオンブルーのグラデーションになっています。
何時間でも眺めてしまいそうな魅力的なヤドクガエルです。






カイナラチ��
カイナラチ��
カイナラチ��
カイナラチ��

名称:イミテーターヤドクガエル“カイナラチ”
学名: Ranitomeya imitator cainarachi valley
分布:ペルー
最大全長: 約3cm前後
寿命: 10年前後?

「あら、綺麗なサザン」と思われた方、惜しいです。
膨大な産地とタイプを持つイミテーターヤドクガエルの中でもCainarachi渓谷に生息しています。
そういえばすっかり忘れていましたが、本種はバリアビリスにそっくりなタイプも多いことから、「マネシヤドクガエル」(真似し)とも呼ばれています。本種がパクった前提のネーミングで可哀そうな気がしなくもありませんが、特に知っておかなくても良い情報です(笑)
肝心な見分け方ですが、バリアビリスが鼻先のスポットが一つなのに対し、イミテーターは二つに分かれるという、どう考えても人工的に作ったとしか思えないくらい簡単に見分けられます。
樹上性、というより立体活動な好きな種類で、ブロメリアなどの植物を使ってレイアウトしてあげると器用に登ったりおりたりする姿を観察することができます。
また、本種を含めイミテーターヤドクガエルのグループは繁殖形態にも非常に特徴があり、産卵後オタマを人工的に取り上げて育成することもできるのですが、そのまま放置しておくとメスが無精卵を産んで与え、オタマを育成するという、所謂エッグフィーダーの特徴も持っています。
繁殖を狙っている中で、オタマを見つけて取り上げて育成していたらいつの間にかチビカエルがケージ内にいるということも珍しくなく、育成だけでなく繁殖を視野に入れても大変面白いヤドクガエルです。
そうなると自然と産卵場所、オタマの育成場所になるようなフィルムケース、ブロメリア系の植物を気持ち多めにレイアウトしてやることが大切で、ヤドクガエル全般に言えることですがいかに「産卵場所の選択肢が多いか」が非常に重要になります。
小さな体に美しいカラーだけでなく不思議な生態を含めた魅力を詰め込んだ、魅力たっぷりのヤドクガエルです。








もっともっと簡潔にわかりやすい文章を書ければ良いのですが、いざ書き始めると、伝えたいことが多すぎて記事がひじょーーに長くなってきましたので、とりあえずここまでを「前編」とさせていただきます。



「後編」ではあのリオペスカドさまを含めた残りの種類の紹介、解説をしていきたいと思います。
ちょっとヤドクガエルに興味が出てきたけれど、実際どんな生き物なの?と疑問がわいてきた方は、上記でもリンクを貼りましたが以前アップしました「ヤドクガエルの飼育環境、メンテなど」をご覧ください。

それでは、後編もよろしくお願いいたします!


2026/3/3アップの中編はこちら

2026/3/5アップの後編はこちら